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日本でもヨガを実践することが一般的になってきた今、ヨガのエクササイズ的な要素以外である、心や思考に作用する「ヨガの教え」に興味を持つ方も増えています。

この連載では、ヨガの教え=ヨガ哲学を体系的に学べる『ヨーガスートラ』を、ヨガインストラクター養成校の講師・インストラクターたちが解説していきます。

苦悩から解き放たれるには真実を知ること

これまで、【連載】第13回やさしく学ぶヨーガスートラ~第19回までは、苦悩の原因や苦悩からの抜け出し方についてお伝えしてきました。

ヨーガスートラでは苦悩は「本当の自分を知らない」という「無知」が根本原因であり、本当の自分を知ることが苦悩から完全に自由になるための唯一の方法だと解いています。

今回は、本当の自分をどのように知ったら良いのか?
その8ステップ(八支則)について書かかれた1節を読み解いていきましょう。

第2章29節

ヤマ・ニヤマーサナ・プラーナーヤーマ・プラッティヤーハーラ・ダーラナー・ディヤーナ サマーダヤハアシュターンガーニ

1:ヤマ(気をつけること)2:ニヤマ(するべきこと)3:アーサナ(姿勢)4:プラーナーヤーマ(呼吸法)5:プラッティヤーハーラ(感覚を収める)6:ダーラナー(集中)7:ディヤーナン(瞑想)8:サマーディー(深い瞑想と静寂)

ヨーガ・スートラ(やさしく学ぶYOGA哲学ヨーガ・スートラ参照)

本当の自分はいつでも幸せな存在

皆さんは蓮の花を見たことがありますか?

蓮は泥の中から芽を出し、花を咲かせます。
ですが、その花びらが泥で汚れることは一切ありません。

蓮は常に凛として美しく、清らかに咲き誇ります。

泥の中に身を置きながら、風に揺れながらも、何にも影響されることのない清らかな存在。
ヨーガスートラでは、私たちの本質を蓮の花のようだと伝えています。

【連載】第20回やさしく学ぶヨーガスートラ:私と私以外を知ることで悩みは避けられるで、私たちの本質は「観るもの」であり、カラダや心や出来事は「観られるもの」だというお話をしました。

この識別ができると、どんな苦悩も学びや成長に変えられます。色々な出来事と感情を体験しながら、蓮の花のように清らかな幸福感の中で生きられるといいます。

真実を知る How to

では、ここから本当の自分を知るためには、どのようにしたらよいのか具体的な方法を、ヨガの教えでお伝えさせていただきますね。

ヨーガスートラでは、不安や、恐れ、また自分の感情に飲み込まれることなく、本当の自分を知る手段として、8つのステップ【八支則】を用意してくれました。

数あるヨガの教えの中でもとても重要であり、ヨガのクラスやヨガの考えを取り入れて生活するうえで軸となる大切な教えです。

ヨガの8ステップ 【八支則】

まずは、8つのステップ【八支則】をご紹介します。

(1)ヤマ:日常的に行わない方が良いこと 5項目
(2)ニヤマ:日常的に行った方が良いこと 5項目
(3)アーサナ:姿勢
(4)プラーナヤーマ:呼吸法
(5)プラティアハーラ:感覚を収めること
(6)ダーラナ:集中
(7)ディアーナ:瞑想
(8)サマーディ:深い瞑想と静寂

(1)・(2)では、日常生活の中で心を磨くステップ

本来、ヨガとは「心と知性を磨く行い」のことをいいます。日常生活のどんな場面でもヨガの実践はできるのです。

まずは今の自分の状態を客観的に見つめ、心を曇らせる行いを避けること。
そして、本当の自分を受け入れるだけの知性を育む行動が記されています。

(3)・(4)・(5)では、カラダを整えるステップ

心は形が無い上に、ほとんどが無意識のうちに働きます。つかみどころがなくコントロールも難しいものです。
それに比べカラダは自分の意志でコントロールしやすいもの。

アーサナ(ポーズ)や呼吸法を通してカラダと向き合うことで、自分自身を観察する力を養います。無意識で働いていた心の動きをつかむ力に繋がります。

そして、安定した姿勢と、快適な呼吸が整うと、心静かに自分の本質に触れる次のステップへ繋がります。

(7)・(8)・(9)では、瞑想によって自分の真実に触れるステップ

静かに座り瞑想を深める段階について説かれています。考えや感情が鎮まると、自分の本質に触れることができるといいます。

雲が晴れた晴天のように心地よく幸福に満ちた感覚が訪れる。それが本当の自分である状態だと教えてくれています。

心から満足して普通に生活すること

毎日、何を感じ、何を思い、何を語り、どんな行動をしているか、あなたは把握していますか?

私たちは無意識のうちに、苦悩に繋がる行動や考えを溜めているかもしれません。八支則は、無意識で流れていく自分自身を観察すること。

苦悩に繋がる行動を改め、心の曇りを浄化するHow toを教えてくれています。曇りが取り払われた心には、清らかで幸福のみが存在する本当の自分が顔を出してくれるのですよ。

ヨガで目指しているのは、難解なポーズを極めることや、修行者になることではありません。

仕事をして家族や友人と過ごす。
やりたいことに挑戦したり、悔しい想いをしたり様々な経験をする。
普通の生活をしながら、自分であることに心から満足して、ありのまま幸せに生きることです。

蓮の花のように清らかに咲き誇る。八支則はそんな生き方にコミットするようデザインされています。

次回からは、8つのステップ【八支則】を一つ一つ紐解いていきます。

一緒に学び、実践してみましょう!
楽しみにしていてくださいね。

【連載】第20回やさしく学ぶヨーガスートラ:私と私以外を知ることで悩みは避けられる

【連載】第1回やさしく学ぶヨーガスートラ:「今」に意識を置くということ

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