日本でもヨガを実践することが一般的になってきた今、ヨガのエクササイズ的な要素以外である、心や思考に作用する「ヨガの教え」に興味を持つ方も増えています。
この連載では、ヨガの教え=ヨガ哲学を体系的に学べる『ヨーガスートラ』を、ヨガインストラクター養成校の講師・インストラクターたちがリレー形式で解説していきます。
「今の私」が切望している気持ちは「本当の私」が求めているゴールへと導くものか?
第3回でご紹介した『ヨーガスートラ』1章12節では、捉えどころのない心をいかにして収めるのか?その方法について書かれている文章をみていきました。
それがアッビャーサとヴァイラーギャです。絶え間なく取り組むことと執着を手放すことによって、翻弄される心を上手にコントールし、本当に向かいたいゴールへと進むことができる、と語られていました。
今回は、さらに執着を手放すことについて書かれた文章をみていきます。
1章15節:ドルシュタ・アヌシュラヴィカ・ヴィシャヤ・ヴィトルシュナッシャ・ヴァシーカーラ・サンニャー ヴァイラーギャン
(見たり聞いたりした対象への切望から、自らを自由にする意識が無執着である)出典元:ヨーガスートラ
私たちは、ついつい目や耳で得た外からの情報によって欲求をかきたてられ、その欲求を満たそうと躍起になってしまうことがあります。
何かを切望する気持ちは成長する為の努力を生む原動力にもなりそうですが、それは本当に自分が求めるゴールへと導くものかどうか見極める力を持つべきである。と説かれています。
私は若い頃、クラシックバレエを習っていました。
(バレエの身体性が悪いと言っているのではないことを先にお断りしておきます)
バレエを習っているときの私は、胸を高く引き上げ、お尻を固めてできるだけ背骨を空高く引き上げる姿勢が「美しい姿勢」だと思っていました。
バレエを辞めた後も、常にその美しい姿勢でいることを自分に課していましたが、いつしか酷い腰痛に悩まされるカラダになっていたのです。
「もしかしたら、社会人になりデスクワークで姿勢が崩れているから腰痛になっているのかもしれない」と思い、更に美しい姿勢でいる為に「正しいカラダの使い方は何だろう」という考えに執着していました。
しかし、日を追うごとに腰痛は酷くなるばかり。ついに病院へMRIを撮りにいくことにしました。
そこで言われたのは、「姿勢を意識するあまり腰がとても緊張している」という言葉でした。
「美しい姿勢」でいることへの執着が、目的に向かうどころか自分を苦しめる原因になっていたなんて。その瞬間、拍子抜けして全身の力が抜けるような解放感があったのを覚えています。
その帰りには、安堵感に包まれて腰の痛みが少し和らいでいたくらいです。
その後は、腰に負荷をかけない自然な姿勢を維持できるようにカラダの使い方を見直すことで、徐々に腰痛は改善していきました。
誰しも不調を感じたり、目標に向かって前進しきれないことがあると思います。そんなときは、
自分の中に強く固執していることはないか?
欲求を満たす為に囚われている思い込みはないか?
と点検してみましょう。
時にはそれを手放す勇気が自分自身を本当のゴールへと前進させる選択になるかもしれません。
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