日本でもヨガを実践することが一般的になってきた今、ヨガのエクササイズ的な要素以外である、心や思考に作用する「ヨガの教え」に興味を持つ方も増えています。
この連載では、ヨガの教え=ヨガ哲学を体系的に学べる『ヨーガスートラ』を、ヨガインストラクター養成校の講師・インストラクターたちが解説していきます。
第2章15節
パリパーマ ダーパ サンスカーラ ドゥッカイヒ グナ・ヴルッティ・ヴィローダーット チャ ドッカン エーヴァ サルヴァン ヴィヴェーキナハ
全ての体験はグナ(質)によって変化します。
変化と苦悩による記憶が、苦悩の原因です。
見極めのある賢者は、今たとえ快楽であったとしても、全てのカルマと経験は最後は苦悩の原因 となると知ります。ヨーガ・スートラ(やさしく学ぶYOGA哲学ヨーガ・スートラ参照)
心には【質】がある
ヨガの教えでは 、心には3つの質があると言われています。
■サットヴァ(純質)
■ラジャス(激質)
■タマス(鈍質)
これをトリグナ(3つの質)といい、それぞれ誰もがみな持ち合わせているものです。
簡単に、これらの性質について解説をすると
■サットヴァ(純質) の質
・何が起きても揺るぎない状態
・穏やかであり、クリアで安定している心
■ラジャス(激質) の質
・行動的、刺激的なものを求めたり、感情的であり、落ち着かない心
■タマス(鈍質) の質
・怠惰な状態、動きがない、重たい、保守的な心
この3つの質は、『あればよい、ないほうがよい』というものではなく、私たち人間が生きていくうえで必要な素質で、常にあるものです 。
例えば、仕事をしたり、何かをする原動力を起こすには、ラジャスな質が優先され快活に動き、眠る時や休む時はタマスの質が優先になるためぐっすりと寝られるのです。
そんなふうに、心の状態は揺れ動くのが当たり前であり、 刻一刻と変わっていきます。
ですが、このトリグナ(3つの質)のバランスが崩れてしまったり、 不必要な場面でその質が過剰になってしまうと 、心は乱れ、不調や苦しみにつながっていくのです。
快適でいるポイントは「サットヴァの質」を高めること
家族や友だち、職場の上司や同僚、恋人や時には初めて会った人が、あなたに向けて、気をつけて欲しいことや直した方がよいことを伝えたとします。
あなたは、どう感じますか?
この時の心の状態を、トリグナの性質で解説すると
■サットヴァ(純質)
・そうかもしれないと、素直に受け入れている状態
■ラジャス(激質)
・指摘されて、怒りやざわつきがある状態
■タマス(鈍質)
・言われたことを根に持ってしまう状態
体験や経験は、トリグナ(3つの質)の状態によって受け取り方が変わってきます。 私たち人間は、好きや嫌いで物事を判断してしまったり、『よい・わるい』のジャッジメントをしてしまいがちです。
いくら好きなものに触れていても、良い経験をしていても、快楽を得ていたとしても、心がラジャス(激質)やタマス(鈍質)に偏りすぎていると、苦しみを生み出し、苦悩の原因になってしまうのです。
逆にサットヴァな状態だとどうでしょうか?
サットヴァ(純質)が優位な状態だと、迷うことなく物事に対して冷静であり、自然と満足感や幸福感に満ち足りていて、愛情深い状態、心の波はいつも穏やかで寛大なのです。
苦悩も心の質によっては幸福に変えてしまうことができるかもしれません。
となれば揺れやすい心の波をなるべくおさえていくためにも、サットヴァな質を増やしていきたいですよね。
サットヴァ(純質)は簡単に増やすことができる!
サットヴァ(純質)は瞑想をしたり、自然の中にいることで増やすこともできますが、実はこのトリグナ(3つの質)は食べ物や食べ方でも左右されるものなのです。
刺激的なものやカフェイン、アルコールの摂りすぎ、イライラした気持ちで食事をしたり焦って食べたりするとラジャス(激質)を増やし、加工食品や残り物、添加物の多い物や油分の多い物、時間をかけすぎての食事はタマス(鈍質)を増やしていきます。
サットヴァ(純質)を増やすには、新鮮で適度に甘みや油分があるもの、 採れたての野菜や果実は生命エネルギーに満ち足りています。
そう言った心が喜ぶものを口に入れ、旬の食材をできるだけ新鮮なうちに食べたり、愛情を込めて作られた出来立ての食事に感謝の気持ちを持って食べることで増えていくのです。
欲のままに食事をしてしまったり、お腹が空いてないのに食べてしまったり、仕事をしながら、本を読みながら食事をしてしまってはいないでしょうか?
私たちが食べたものは、私たちの心をつくります。
心を自ら作り上げていく、そうは言っても食べたいものは自由に食べたい! 仕事や家事が忙しくて料理に時間がかけられない! なんて声が聞こえてきそうですね。私自身も毎日100%意識することは難しいです。
それが変えってストレスに変わってしまっては元も子もありませんよね。
食べたいものがある時は、ある程度自由に選んだり。少しくらい手を抜く時があってもいいと思います。
後は、サットヴァ(純質)な食事をいただく時はもちろん、たとえラジャズ(激質)なものやタマス(鈍質)なものを食べる時でも、「感謝の心を持っていただく」ことを意識してみてはどうでしょうか?
作ってくれた方、 食材を育ててくれた方、管理運搬してくれた方、食材のそのものに・・・。
目の前にある食事には目に見えない多くの方々の努力があります。それを味わっていただくと、それだけでも心はサットヴァへ(純質)へと向かっていくものです。
心が変われば食べたくなる物も変わり、食べ物を変えれば心の状態が変わるように、だんだんと自然と採れたての新鮮なものを食べたくなったり、時間をかけてゆっくり食事をしたくなってくるかもしれません。
私たちの心とカラダは食べたものでできています。
日々の食事を観察して丁寧に感じ取り、自分の心の変化を楽しんでみてください 。
サットヴァ(純質)を増やし、穏やかな心を育てていきましょう。
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