日本でもヨガを実践することが一般的になってきた今、ヨガのエクササイズ的な要素以外である、心や思考に作用する「ヨガの教え」に興味を持つ方も増えています。
この連載では、ヨガの教え=ヨガ哲学を体系的に学べる『ヨーガスートラ』を、ヨガインストラクター養成校の講師・インストラクターたちが解説していきます。
瞑想への階段の扉を開ける
【連載】第22回やさしく学ぶヨーガスートラ:~ヤマ(日常的に行わない方が良いこと)~からは、ヨガの哲学入門ともいえるヨガの八支則について学んできました。
この八支則は瞑想を深めていくためのステップです。
今回は、八支則の5番目であるプラティアハーラ(感覚のコントロール)について読み解いていきましょう。
第2章54節
ソヴァ・ヴィシャヤー・サンプラヨーゲー チッタッシャ ソヴァルーパアヌカーラ イヴァ インドリヤーナーン プラッティヤハーラハ
感覚の対象に振り回されず、心の本質である根源の存在に収まるように、感覚の動きとその対象、どちらに対しても心が静かであることをプラッティヤハーラハ(感覚や行動に引きずられないこと)といいます
ヨーガ・スートラ(やさしく学ぶYOGA哲学ヨーガ・スートラ参照)
これまで日常生活でのヨガの実践ヤマ・ニヤマ、マットの上での実践アーサナ、呼吸法と瞑想への階段を一段一段登ってきました。
今までの実践と瞑想へのステップの架け橋とも言えるプラティアハーラは瞑想への扉を開くための大切な実践です。
まずは、目を閉じて、そこに座ってみしょう。
1分も経たないうちに、私たちの感覚器官は外の世界からさまざまな情報を拾ってきます。
何が聞こえて、何を感じるか、拾ってきた情報から受け取ることを味わってみます。
例えば、炭の焼けたにおいが、あなたの鼻から入ってきたとします。
山で行うバーベキューを思い浮かべる人もいるでしょう
海でのキャンプファイヤーを想像する人もいます
ワクワクした気持ちになる人もいれば
燃えることに対して怖い印象を抱くこともあるかもしれません
感覚は過去の記憶や経験と結びつき、新しい思考が生みだされる私たちの道具のひとつと言っても過言ではありません。
触った感触
口の中に残る味
眼の中に入る景色
耳に残る音
ここで受け取った情報は、感覚を通し喜びや悲しみ、苦しみや楽しみと、「思考」に形を変え、心に影響をあたえます。
状況や経験によって心の波は揺れ、波が大きくなると瞑想をすることが難しくなりそうですね。
瞑想への扉の開け閉めをコントロールし、扉の先で集中するにはどうしたらよいでしょうか?
「今」の感覚にラベルを貼ってみる
プラティアハーラは、直訳すると「制感、感覚」の制御ともいえます。
ですが、感覚をシャットダウンしなきゃ!と思う必要はありません。
いきなり集中する!と言っても難しいこともありますよね。なので、まずは入ってくる感覚を、客観的に「観る」ことをしてみます。
良い・悪いを決めず、分析せず、ラベルを貼ることだけをしてみてください。
例えば、耳から入ってくる音に対してどんな音が聞こえてきても、「鳴っている」とラベルを貼ります。鳴っていることに気づき、ラベルを貼ったものを捨てていく。
いい香りがあなたの鼻を刺激しても「香りがする」というラベルを貼り、分析せず分別していくのです。
それを繰り返し行っていくことで、やがては「気づいている」ことに「気づくこと」ができています。これは普段の生活の中でも実践することができます。
SNSやネットの情報、たくさんの物にあふれている中で感覚の扉を開け放して、外側に意識を向けていると悲しみや苦しみを生んだり、自然と心の波は大きくなっていきます。
そんな時には入ってくる情報に対して、ラベルを貼ってみます。
感覚に対しての反応パターンや、微細なものに気づくことができたり、いらないものは手放すことができるようになるかもしれません。
そして、だんだんと感覚の扉をコントロールすることができ、穏やかさをもって自分の内側を知り、やがては心をコントロールすることにつながっていきます。
我慢ではなく穏やかに見守ること
プラティアハーラは、我慢することではありません。
今を穏やかに観察して、内なる自分を見つめ、まだ見ぬ自分と出会い続けるだけで、果てなく続く階段を急いで登る必要はありません。
チャレンジし続けること、それが瞑想の扉を開け、コントロールする内側への第一歩なのです。
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一緒にカラダと心を整え、安定していて快適な日々を創造しましょう♪
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