日本の気候風土にあった「旧暦」と暮らす
皆様、お元気さまです。東洋医学普及活動家の羅予澤(らよたく)です。ではさっそく、皆さんにお伝えさせていただきます。
小雪(しょうせつ):11月22日~12月8日頃
- 季節冬
- 心驚き・恐怖
- カラダ腎・膀胱
「主気」と「客気」
1ヶ月前の「霜降」に関する記事の中で、「二十四節気」と「六気」について紹介しました。小雪、大雪、冬至、小寒の60日余りは、六気の終之気となり、小雪は終之気の始まりです。
六気には、主気と客気があります。主気は、日地関係により、四季(春夏秋冬)とともに、毎年、風・熱・暑・湿・燥・寒の順番で推移し、変わる事はありません。
その順番は、以下の通りです。
初の気(1月21日~3月21日) ― 厥陰風木
二の気(3月21日~5月21日) ― 少陰君火
三の気(5月21日~7月23日) ― 少陽相火
四の気(7月23日~9月23日) ― 太陰湿土
五の気(9月23日~11月22日) ―陽明燥金
終の気(11月22日~1月21日) ―太陽寒水
よって、11月22日頃から始まる小雪は、太陽寒水という気に支配されます。
一方、客気は、三陰三陽の順番に推移します。毎年異なる地球と月及び五大惑星(水・金・火・木・土)との位置関係から影響を受けるため、年により異なります。三陰三陽は何からスタートするかは、毎年の干支によって、6年サイクルで変わっていきます。
2020年の干支は、庚子(こうし)
客気の順番は、燥、寒、風、熱、湿、暑となります
初の気(1月20日~3月20日) ― 陽明燥金
二の気(3月21日~5月20日) ― 太陽寒水
三の気(5月21日~7月22日) ― 厥陰風木
四の気(7月23日~9月22日) ― 少陰君火
五の気(9月23日~11月22日) ― 太陰湿土
終の気(11月22日~1月21日) ― 少陽相火
つまり、今年の小雪からの2か月間、主気の太陽寒水の上に、客気の陽明燥金が加わる(客主加臨という)ことになります。
※東洋医学の運気学について詳しく知りたい方は、こちらのオンライン講座をご参考ください。
2020年の冬の気候特徴
「太陽寒水」という気の特徴は、「寒」そして「封蔵」です。この時期は日照時間がどんどん短くなり、太陽エネルギーが弱くなるにつれ、万物の封蔵の働きが顕わになります。植物が枯れ、動物は冬眠、水は凍り、降雪が多くなります。
一方、「陽明燥金」という気の特徴は、「涼」そして「燥」です。本来、これは秋を司る気ですが、客気として、陽明燥金が冬に訪れると、五行の生剋関係にある「金生水」の働きで、寒水の気が一層厳しくなるのではないかと考えられます。
よって、今年の冬は、例年より寒さが厳しく、しかも「陽明燥金」の「燥」の影響で降雪量がそれほど多くない可能性が高いのです。
これは、昨年2019年の冬と大きく異なります。
昨年の終之気の客気は、「少陽相火」でした。本来、「少陽相火」は夏の気です。夏の気が冬に訪れたため、案の定、2019年の冬は暖かく、気温が乱高下、動物たちは冬眠できず、熊の目撃情報が多発しました。そして、12月にもかかわらず、気温20度以上の日が頻繁に訪れたため、降雪量がほとんどなく、多くのスキー場が経営難に陥ってしまいました。
暖冬の影響は、人体においても、冬の「封蔵」の働きが破壊されるため、腎の気が損なわれ、免疫力が低下してしまい、疫病が蔓延しやすくなります。
東洋医学の経典「黄帝内経」には、干支が己亥の歳(2019年)の冬は暖冬となり、大きな疫病が蔓延すると明記されています。 これが、感染症拡大の古天文学的背景です。
これに対して、今年の冬は厳冬になるので、封蔵の働きが強くなり、流行りの感染症の終息が加速されるのではないかと考えられます。
小雪の養生の秘訣
冬を支配する「太陽寒水」の特徴は、「寒」であるため、万物に収縮の働きが強くなります。よって、この時期になると、心脳血管の病気が発症しやすく、死亡率も急増する傾向にあります。
東洋医学の臓腑学によると、心は、五行の火に属し、全身の血脈を主し、精神や神経の活動を司ります。五行の生剋関係では、「水剋火」であるため、冬の寒水の気が強いときには、火に属す心、心臓、血管、精神や神経の働きが抑制されます。
未病予防のため、この時期は、心の活動を司る経絡にあるツボを刺激することが大事です。
この時、刺激ツボを2つ紹介します。
1、内関(ないかん)
このツボは、腕の内側、手首の上2寸(指3本)のところにあります。
2、労宮(ろうきゅう)
このツボは、掌の真ん中にあります。
刺激の方法
・親指で軽くこの2つのツボを押し揉む (1セット7回、9セット繰り返す)
今回は、情報が盛りだくさんだったかもしれません。皆様の未病予防と健康増進にお役立ていただければ幸いです。
次回は、二十四節気のひとつ、大雪(たいせつ)についてお話いたします。
どうぞお楽しみに。
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